スウェーデンからは、ここ最近、ミカエル・スタヴォストランドやアンドレアス・ティリアンダー、ロニー・サンディンなど、電子音響系の新鋭が続々登場しているが、アンドレアス・バースリングもそのひとりだ。
彼が最初に出したアルバムは非常に無機質でアブストラクトなミニマル・コンピューター・ミュージックで、完成度は高いが必ずしも独創的とは思えない部分があった。だが、M・スタヴォストランドのレーベル、ミテクから2001年にリリースした"TinyLittle White Ones(Like Handfuls of Salt)"では、アコースティック・ギターやハーモニウムなどのサンプリングをDSP加工した、ステファン・マシューやエッケハルト・イーラーズ、あるいはフェネスの諸作品とも繋がる、好ましい叙情性を含んだ作風へとシフトし、筆者を驚かされてくれた。
"Tiny Little White Ones~"では、タウン・アンド・カントリーのベン・ヴァイダのギターがサンプリングされていたのだが、アンドレアスが新たに結成したユニット、テープは、まさにT&Cのエレクトロ・アコースティック版ともいうべき、繊細で優美な音楽を展開している。テープのメンバーはアンドレアスとその弟ヨハン・バースリング、トマス・ハロンステンの3名。彼らはラップトップ・コンピューターの他に、ギター、シンセ、ハーモニウム、メロディカ、パーカッション、ハーモニカ、フルート、笛、アコーディオン、グロッケンシュパイルなどなど、といった多数の楽器を演奏し、更にはフィールド・レコーディングなども導入して、実にエレガントでエモーショナルな室内楽+電子音響を作り上げている。デビュー・アルバム"Opera"は、T&Cのファーストを好きだった人なら絶対に聴くべき傑作である。
バースリングは最近、北欧を中心に世界各国の注目電子音響クリエイターを集めた2枚組CDコンピ"Circle 0"でジャケットのアートワークを担当した。スタヴォストランドがコンパイルし、先に名を挙げたスウェーデン勢の他にSNDのマーク・フェルやテイラー・デュプリー、リチャード・シャルティエ、TVパウ、キッド606、などが参加したこの秀作コンピの冒頭には、バースリングのソロとしての新曲が据えられている。これも最近の傾向をより進めた曲で、新作ソロが楽しみになってきた。