COLUMN/ESSAY

バーチヴィル・キャット・モーテル

 ニュージーランドという国はナゾ音楽の宝庫であり、その頂点に位置するのがデッドCであることは言うまでもないが、今回はポスト・デッドC・ジェネレーションの中でも最もエネルギッシュに活動しているアーティストの一人であるバーチヴィル・キャット・モーテルを紹介したい。
 バーチヴィル・キャット・モーテルはキャンベル・ニールという人物によるソロ・ユニットである。彼はギター、ヴァイオリン、ピアノ、オルガン、シンセサイザー、ドラムス、パーカッション、クラリネット、ターンテーブル、テープレコーダー等々、膨大な種類の楽器を操るマルチ・インストゥルメンタリストであり、彼自身が運営しているセレブレイト・PSI・フェノメノンを中心に、サーストンのエクスタティク・ピース、フリーダム・フロム、ベトレイ・ウェルカムズ・ケアフル・ドライヴァーズ、ドランクン・フィッシュ、デッドCのブルース・ラッセルが運営するコーパス・ヘルメティカム等、世界各国のレーベルから、途方もない数のリリースを行なってきた。
 その音楽はドローン・エクスペリメンタル・アンビエント・ロックというか、フィードバックを基調としたオブスキュアなギター・サウンドに多種多様なノイズが絡み付きながら進行してゆく、神秘的
なムードとガレージ的殺伐さとローファイなアティチュードが奇妙なバランスで合体したもので、ある意味では掴みどころがないのだが、何度も聴いていると変にハマってきて、つい新譜が出ると手が出てしまう(というのはNZもの全般の特徴でもあるが)。
 セレブレイト〜は初期の頃はCDRばかりだったが、最近になってCDもコンスタントにリリースしている。B・ラッセルとの共作はまさに師弟対決(?)といった感じの乾いたドローン・サウンド。ヴァイブラカテドラル・オーケストラのニール・キャンベルとのデュオは、互いの名前が逆さまというのも面白いが、音は恐ろしく美しく、陶然とさせられる。そして注目のラスト・ヴィジブル・ドッグから2枚組CD"beautiful speck triumph"が出た。この大作は、かつてはあまり感じることのなかった不思議な叙情性が滲み出た、最高傑作と言えるアルバムとなっている。
(初出:クロスビート)

Last Update : 2004/05/18