ハフラー・トリオの活動がまた活発化している。ノイズ・エクスペリメンタル・シーンの歴史においては欠かすことのできない、この最重要アーティストは、トリオというからには、もともとは3人組だった(だが3人目のメンバーについては実在が疑問視されている)。元キャバレー・ボルテールだったクリス・ワトソンは、初期にだけ関わり、現在はソロとしてタッチよりフィールド・レコーディングの秀作を発表し続けている。そんなわけで現在のハフラー・トリオはオリジナル・メンバーのアンドリュー・マッケンジーの実質的なソロとなっている。
90年代半ば以降、ハフラーは以前にも増してオブスキュアな存在になっていた。イギリス人のマッケンジーは、オランダからアイスランドへと拠点を次々と移し、その結果として、アイスランド出身の電子音響ユニット、スティルアップステイパと交流を深め、スティルアップステイパのレーベル、ファイア・インクから、数年間告知だけされてリリース待ちとなっていた2枚組CD"Whistling About Chickens"がついに発表されたのが今年のこと。95年リリースの"Hijodmynd"以来のアルバムとなる、この大作は、近年のハフラーのスタイルである美しく荘厳なドローンに加えて、さまざまな音響的エレメントが多層的に配された、実に聴き応えのある作品だ。この傑作によって「復活」したハフラーは、続いてアルバム3部作に取りかかっている。第一作はチェコのレーベル、ネクステラから、二作目は"Hijodmynd"と同じドイツのディー・スタットから、いずれも豪華なブックレット付きの美麗なスリーブに包まれてリリースされている。そのサウンドはストリングス(らしき音)を精密に縒り合わせた優雅で神秘的なドローンである。第三作はネクステラより発表されることになっている。
マッケンジーは非常に優秀なコンピュータ・プログラマーでもあり、あのNATOの開発にも関わったという噂もある。だがハフラーの実体は今も謎に包まれており、意図的に情報を遮断している節も強い。現在、マッケンジーは不治の病と闘病中とも伝えられており、ここへきてのリリース・ラッシュはその為だとも言われているが、真実はよくわからない。ちなみにあのオウテカも、ハフラー・トリオをリスペクトしていることを付け加えておこう。