ジャッキーO・マザーファッカーは、オレゴン州ポートランドを拠点とする、一風変わった即興演奏グループだ。1994年の結成以来、ローレン・マザケイン・コナーズのリリースで知られるロード・コーンからの一連のリリースや、NYや他都市での旺盛なライヴ活動によって、噂が噂を呼んでいたのだが、先日フランスのテキスタイル・レコーズから出たニュー・アルバム"Change"が各方面で話題となり、ついにはイギリスのワイアー誌の表紙に起用されるにおよび、ちょっとしたブレイクの様相を呈してきている。
例によってサーストン・ムーア(既に廃盤の"Change"のLPはエクスタティック・ピース!から再発されたばかり)やジム・オルーク(昨年のベストに挙げてましたね)もお気に入りというJOMの中核を成すのは、ジェフ・ブラウンとトム・グリーンウッドの二人で、どちらもギター、ドラムス、管楽器からエレクトロニクスまで、複数の楽器を操るマルチ・インストゥルメンタリスト。彼らに数名のミュージシャンが加わった編成でJOMの演奏は行われる。そのサウンドは、ロックとサイケとフォークとカントリーとエスニックと電子音楽とアンビエントとノイズが、さながら映画のようにクロスフェードしながら移り変わってゆく非常に魅力的なもので、ストレンジなサウンドスケープの中に強度のポップさを湛えた"Change"は、彼らの世界の最高傑作だといっていいだろう。
僕自身、まだ体験したことはないのだが、おそらくJOMの個性は、ライヴでもっとも発揮されるのだろうと思われる。彼らは昨年、ライヴ音源をCD-Rでリリースしていくレーベル、Uサウンド・アーカイヴを立ち上げ、ポートランド、シアトル、カナダのヴァンクーヴァーなどでのライヴを限定リリースしている。これらを聴いてみると、ステージ上でのメンバー間の音によるコミュニケーションが、スポンティニアスな即興を、ほとんど集団による作曲のレベルにまで高めていることが分かって非常に興味深い。Uサウンドからはまもなく、初の正規CDリリースとして、昨年のヨーロッパ・ツアーの模様を記録した2枚組が出ることになっている。
おそらくこの先ますますJOMへの注目度は高まっていくことだろう。その波に乗じて日本にも来てくれることを願いたい。