COLUMN/ESSAY

シックス・オルガンズ・オブ・アドミッタンス

 シックス・オルガンズ・オブ・アドミッタンス。例によって例のごとく、いささか奇妙な名前のアーティストを紹介したいと思う。その正体は、米国カリフォルニア州サンタ・クルーズ在住のベン・チャスニーのソロ・ユニット。アコースティック&エレクトリック・ギターによる弾き語りを中心に、曲ごとに簡素なパーカッションや、控えめだが効果的なエレクトロニクスやテープ・コラージュが加わった、内省的で繊細なサイケデリック・フォークを奏でる。
彼のデビュー作は、1998年にパヴィリオンというマイナー・レーベルからひっそりと出された、400枚限定のアナログ盤だが、その後、現ファウストのスティーヴン・レイ・ロブデル率いるデイヴィス・レッドフォード・トライアドで知られるサンフランシスコのホーリー・マウンテン・レーベルにピックアップされ、"Dust & Chimes"や"Dark Noontide"といった傑作アルバムを発表、次第に人気を高め、今ではアメリカで俄かに盛り上がりつつある「フリー・フォーク・ムーヴメント」の中核を、本欄でも紹介したハラランビデスやサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンなどと担うまでに至っている。
 ファースト・アルバム(現在はホーリー・マウンテンからリイシューされている)の頃は、正に男性版ハラランビデス的なドローン&プリミティヴな要素が強かったのだが、つい最近リリースされたばかりのニュー・アルバム"Compathia"では、ある意味ではポップになったとも言えるポジティヴな曲調や、突然派手にバーストするギター・ソロなどにも挑戦していて、音楽性の拡がりが感じられる。彼ならではの、どこかオリエンタルなメロディラインは健在だけれど。この微妙な変化を促したのは、チャスニーが先頃、ソロとは別に地元の友人達と始め、早くも一部で大いに注目されている新バンド、コメッツ・オン・ファイヤーかもしれない。こちらは何故か(?)ギンギンでドライヴィンなハードロックで、すごくカッコイイのだ。
 その他、元ディアフーフのロブ・フィスクとのバッジャーロアや、山本精一や杉本拓と共演してきた臼井弘行(L)とのコラボレーション・アルバム等、シックス・オルガンズ・オブ・アドミッタンス以外の活動も、今後ますます活発化していきそうな感じだ。楽しみである。
(初出:クロスビート)

Last Update : 2003/12/26