ノー・ネック・ブルース・バンド、ジャッキー・O・マザーファッカー(何とATPから新作が出る!)、マット・ヴァレンタインとタワー・レコーディング、あるいはハラランビデス周辺などなど、ここ最近、アメリカの地下音楽は明らかに息を吹き返している(どれもこのコラムで取り上げてきましたが)。その潮流の中で、今後新たなスターになっていきそうな勢いなのが、サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンだ。
90年代半ば頃からマサチューセッツ州チャールストンを拠点として活動してきたというサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンは、バンドのスポークスマンであるジョン・モロニーを中心に、チャド・クーパー、マーク・オーリンズ、フィル・フランクリン、クリッター等、最大十数名に及ぶメンバーを抱える即興アンサンブルである。彼らは自ら運営するマンハンド・レコードからすでに十枚近いCDRをリリースしているのだが、その異形の魅力に注目した幾つかの他レーベルがCDR音源のLP化を始めたことがきっかけとなって、俄かに話題を集めるようになってきた。NNCKやタワレコやホリー・アザーの人脈ともややこしく繋がっていて、当然のようにサーストン・ムーアとも接近しつつあるという。
SHOTMの音楽を説明するのは非常に困難だ。彼らのアルバムをどれだけ聴いても、その全貌を掴み取れたとはとても思えない。たとえば現在、入手可能な音源ではもっとも古い97年から98年にかけて録音された"MIND OF A BROTHER"を聴いてみると、最初は厳かなドローン・サウンドをバックに、ミニマルなフォーク的爪弾きが流れているのだが、突然、まるでチープなテクノのような速いリズムのドラムとシンセが現れ、何だ何だと思っていると今度はフリーなクラリネットが出てきて、バックには怪しい子供の(ような)声がメロディらしきものを呟きはじめ、それらが混然一体となりながら、いつのまにか次第に演奏は高揚していきクライマックスへと向かってゆく。全体に漂うミスティックなサイケ感覚はNNCKと共通しているが、彼らの方がもう少し音楽的な幅が広く、けれどもっと行き当たりばったりな感じを受ける。そして、それがまた魅力なのだ。
SHOTMは遠からぬ内にファーストCDを出すだろう。そしてそれは相当な傑作である筈だ。
(初出:CROSSBEAT)