REVIEW/COMMENT

70年代ジャズディスク10選

"RITES AND RITUALS"RAY RUSSELL(COLUMBIA)
祝復刻。英国のジャズ・フュージョン・ギタリストがCBSに残した過激な闘争の記録。いかにもブリティッシュ・ジャズらしい「決め」と、唐突に覗く即興的な「外し」とのバランス感がほとんど異様。併せてCD化された"DRAGON HILL"もテンションが高い傑作。

"ALABAMA FEELING"ARTHUR DOYLE PLUS 4(DRA)
伝説にして現役の老怪人アーサー・ドイルの78年発表のファースト・リーダー作にして記念碑的名盤。フリー・ジャズの真髄といえる内宇宙的白熱のプレイ。「特に日本ではオリジナルLPは超高価だった」とルドルフ・グレイによるライナーにはあります(笑)。

"INDENT"CECIL TAYLER(BLACK LION)
膨大なセシル・テイラーのアルバムは、しかしどれも聴くべきものがある。数あるピアノ・ソロの中では、極めてコンデンズドされた内容のこれを推しておきたい。当時テイラーが教鞭を振るっていたオハイオ州アンティオーク大学でのライヴ録音。ジャケも絶品。

"CONSIDERATIONS 1/2"BILL DIXON(FORE)
ビル・ディクソン再評価を提唱したい。独自の理論に基づいた彼の作品はどれも面白い。楽器相互の絡みというよりも、その「間」に、楽器の「演奏」だけでなく、それが生じている「時間」と「空間」に着目しているという点で、この人は時代を先取りしていた。

"BLUE BOYE"JULIUS HEMPHILL(SCREWGUN)
77年に小部数のみリリースされていた名作が、弟子筋に当たるティム・バーンのレーベルより2枚組完全CD化。サックス、フルートにわずかなパーカッションを加えた完全なソロ録音だが、いわゆる即興演奏ではなく、かなり綿密に構成されている。この渋さは絶品。

"FOR ALTO"ANTHONY BRAXTON(DELMARK)
頭でっかち、エラくなり過ぎ、と評判の悪い向きもあるブラクストンだが、初期の代表作といえるこのソロ・アルバムには、今聴いてみても数々のインスピレーションが満ちている。確かにお馴染みの図形楽譜はややワザとらしいが、音色は素晴しいし、やはり名盤。

"ALAN SILVA AND THE CELESTRIAL COMMUNICATION ORCHESTRA"ALAN SILVA(BYG)
前作"LUNA SURFACE"に続く「68年」の興奮いまだ覚めやらぬビッグ・アンサンブルによる3枚組超大作!(70年12月録音)。AEOCのメンバーからスティーヴ・レイシー人脈まで、フランス、アメリカのフリー・ジャズ界のスターが大挙して参加している。

"MOTO GROSSO FEIO"WAYNE SHORTER(BLUE NOTE)
『ビッチズ・ブリュー』を最後にマイルスの元を去ったショーターが、ブラジル音楽への傾倒ぶりをチック・コリア、ジョン・マクラフリンなどマイルス・グループの仲間と刻印したアルバム。ウェザー・リポート結成前夜の過度期的なサウンドが、かえって貴重。

"HAH"THE MILO FINE FREE JAZZ ENSEMBLE(HATHUT)
ジョー・マクフィーとの共演でも知られる多楽器奏者(ピアノ、クラリネット、パーカッションなど)ミロ・ファインは、いささかマージナルな位置に甘んじているが、現在も興味深い活動を継続している。フリー・ジャズへの問いかけとしてのフリー・ジャズ?

"L-R-G/THE MAZE/S?EXAMPLES"ROSCOE MITCHELL(NESSA)
アート・アンサンブル・オブ・シカゴの中でも、もっとも抽象的かつ知的な作曲をするのがこの人。『ナイス・ガイズ』と同時期に録音されたこの2枚組は、管楽器のみのトリオ、打楽器だけのアンサンブル、ソプラノサックスのソロというコンセプチュアルな力作。

Last Update : 2003/09/18