REVIEW/COMMENT

ローリー・アンダーソン『ビッグ・サイエンス』

 ポスト・バロウズ的フィロソフィーをバックボーンに、テクノロジーを自在に駆使するパフォーマンス・アーティストとして、80年代初頭のニューヨークのアート・シーンに颯爽と登場したローリー・アンダーソンの、82年リリースの実質的なデビュー・アルバム。代表曲であり最大のヒット曲でもある「O Superman」が収録されている。この曲が典型的だが、感情を欠いた無機質なヴォーカル(殆どモノローグというべきだろう)と、極度にミニマルでメカニカルな室内楽的演奏(シンセサイザーを含む)とが醸し出す不思議なポップ感覚は、その後の作品にも受け継がれていく。ラヴ・オブ・ライフ・オーケストラを率いて活躍していたピーター・ゴードンや、そのメンバーでのちにソロとして脚光を浴びることになるデヴィッド・ヴァン・ティーゲムなどが非常に良い仕事をしている。実は4時間以上に及ぶオペラ「United States」の副産物的アルバムだが、ローリーの世界の入門編としては最適だろう。
(初出:スタジオボイス)

Last Update : 2003/10/21