コーネリアスこと小山田圭吾は、フリッパーズを解散してソロに転じて以降、音楽性からシーンやメディアにおける存在感まで含め、常に一貫して、斬新かつカッコいい、ということを求められ、自らもそう振る舞い、実際にそう在り続けてきた。そこには明らかに80年代以降の日本の情報資本主義下を軽やかに生きる「優雅で奔放な独身者」の姿があったと思う。そんな彼が21世紀になって初めて発表したこのアルバムは、あの小山田圭吾が父親になってしまったという、思えばかなり驚くべき(?)事実が関係あるのかどうかはさておき、斬新でカッコいいという従来のイメージは損なわぬまま、どこか肩の力の抜けたリラックスした作品に仕上がっている。とともに、かつてピチカート・ファイヴやハイポジやテイ・トウワや奥様の嶺川貴子やカヒミ・カリィなどで優れた職人技を見せたコンポーザー&アレンジャーの小山田がコーネリアスをプロデュースした、といった感じの冷徹な客観性も伺えて面白い。
(初出:スタジオボイス)