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空間現代
『空間現代』


UNKNOWNMIX 10 / HEADZ 136
¥ 2,300(tax incl.) / ¥ 2,190(without tax)
2009.12.16 on sale
UNKNOWNMIX / HEADZ


日だまりの逆光音
ー大竹伸朗

まずクエスチョンマークをつけろ。耳に。脳に。その「?」の書体はなんでもいい、明朝体でも、ゴシック体でも、歌舞伎文字でも。空間現代のライブを見たとき、単純にやばいと思った。ステージが進行して、終演をむかえる瞬間、確かにある地平にたどり着いたのだが、そこがどこなのかわからん。つまり「?」しか残らないのに、ゾワッとした。じゃあCDはどうなのかといえば、メタファ―で解説するならば『空間現代』は前輪が6つあって2つずつ3方向をむいて合体させられた車、マシンだ。後輪はないから、別々に走り出そうとして、果たせない。しかし移動はしている。回転?そのマシンは手裏剣なのか?聴きつづければ脈拍がヘンになる。動脈というよりは静脈内にクエスチョンマークが流れはじめる。何かがはじまる寸前の風景が強烈に起ちあがり、しかしそれは、未知、としか解説されない。そのアンノウンは確実に世界を侵略するだろう。しないなら、しろ。
ー古川日出男

「人々の日常」今や違和感だらけです。しかし、この違和感が麻痺して普通になってしまったら(順応してしまったら)いかん、と思いまた空間現代のこのCDを聴くのでしょう。町中に溢れる、16ビートのシーケンス音、あれが気持ちいいものと思っていたら、あらら色んな大事な事を忘却してしまった自分がいる。バランス栄養食、というなら正にこのCD。こっちの方ですよね。しっかし、一歩外に出れば相変わらず野良猫に睨まれている自分がいる、という現実。野口君、最高のサプリメントをありがとう。
ー吉田肇(panicsmile)

バラバラした感じの音楽を聴くと、コンクリ打ちっぱなしで服が2,3枚しか置いてないような高級店に間違えて入っちゃったような気がして萎縮してしまうのですが、「空間現代」の場合はそういう高級店なのに大五郎の空きペットボトルと母親が送ってきたみかんが乗っかったコタツが置いてある(しかもわざと)という「空間」で私みたいな者でも入ることが出来ました。
ー羽生生 純

ご近所肉魂、音から肉散らばる、それ拾おう、楽しいから
ー戌井昭人( 鉄割アルバトロスケット)

ポストパンクの狂騒に引導を渡し、
マスロックの怠惰に喝を入れる、
ゼロ年代の終わりとテン年代の始まりを高らかに告げつつ不気味に嗤う、
邪気と頓知に満ちたラストパンク、メタマスロック。
聴け!、笑え!、そして考え込め!!
ー佐々木敦
UNKNOWNMIXER佐々木敦の秘蔵っ子、空間現代が遂にCDデビュー。
キャプテン・ビーフハート、町田町蔵、PIL、ザ・ワークといった、グルーヴィ−な変拍子と異様な曲展開を特徴とする屈折バンドの系譜を現在に継承しつつも、ここ数カ月の間にも進化をし続け、空間現代としてのオリジナリティを確立したデビュー作。
ヴォーカルの野口による不条理な諧謔と韜晦に満ちた歌詞も、新たな領域に達し、独特のフレージングを発している。
ホースの宇波拓が録音、ミックス、マスタリングを担当。
<<<楽曲解説>>>

【概説】
 私たちはギター、ベース、ドラムという至って普通のバンド形態をとっています。もとよりただのロックバンドだったという事、そしてそれ以外の楽器が弾けないという事実、あとは若干の意地と怠惰が作用し、バンド形態は今も尚変わる事なく活動しています。
結成当初は今のような珍妙な音楽ではなく、言ってしまえば普通のロックあるいはパンクソングを作っていたのですが、聴く音楽の幅が広がるにつれ次第と作る音楽にも変化が起きていきました。より複雑に、より変な、何かが狂っている様な珍妙な音楽を作りたいと思う様に、です。そんな中バンドの編成や形態、使用楽器などを変える事も多少は考えました。しかし上記の理由からそれは断念、逆にこのまま突き進む事で生まれる可能性に賭けてみる事にしたのです。
影響を受けた様々な音楽、それを自分なりに咀嚼し新しいものに作り変える事。そういった事でしか人は創作し得ないというのは本当なのかもしれません。少なくとも我々はそうやって作ってきました。しかし自分が影響を受けた様々な音楽の中には、我々のバンド形態では実現できないものもあります。
たとえば機械を使った音楽です。我々は人力演奏なのでそういった音楽あるいはその要素を取り入れようとすると無理が出てきてしまうのです。しかし我々はそれらの要素を偽造に近い手法で引用するという試みを行いました。
もしかするとその様な試みは全て失敗に終わっているかもしれませんし、時たま錯覚を起こさせる程度のものでしかないのかも解りません。そもそもが達成不可能なものへの漸近が目的ですし、それに本物が欲しいのなら本家の音楽を聴けば良いだけの話ですから、ひょっとすると我々の音楽に需要はあまりないのかもしれません。しかしそれでも我々は恐れる事無く全ての曲をそういった手法、趣向で作り上げました。それは視聴者の耳を驚かすあるいは面白がらせる事に繋がると判断したからに違いありません。全七曲を通してそのような仕掛けをふんだんに散りばめたつもりです。お楽しみください。


【各曲解説】 (楽曲の並びは最初に制作したものから順番に書かれています)

「笑え」
初期の方向性から現在の流れへと変化を遂げた分岐点とも言える思い入れのある曲。Aメロを作る際ギターとベースが違和感のある組み合わせにしようとして苦心しました。非迎合的なアンサンブルと緻密な楽曲構成、全曲通して唯一のベースによるコーラス、大量の歌詞が魅力かと。
この曲ではまだドラムは狂いだしていないです。

「森」
この曲はたとえば下手くそなDJが違和感のあるミックスをしてしまったような、あるいはサンプラーを使った様な音楽にしてみようと試みたものです。土台となるフレーズ上に異なる文脈のフレーズを重ねるような感じに仕上げました。初っ端からギターと歌が完全にベース、ドラムと乖離しています。ギターと歌VSベースとドラムという構図は次第にギターと歌VSベースVSドラムとなり最後は完全にお互い無視して演奏しています。ここらへんからドラムが狂っていきます。

「まだ今日」
曲の後半、全体のリズムが揺れる部分がありますがこれは音飛びをした様に錯覚させるための工夫です。ヒップホップのDJでは音楽を巻き戻したり音飛びさせたりする事が可能ですがバンドでもそれができないかと思い試みました。聴く人によって狙いに気付く人と気付かない人がいますし、そのときそのときによって聴こえ方が変わるようです。ぴたりきた時は本当に音飛びしたかのように錯覚できます。この辺から歌が少なくなっていきます。

「少し違う」
コラージュまたはカットアップ的なサウンドを作ろうと試みた曲です。楽器同士のリズム乖離、音飛び、コラージュ&カットアップ、バラバラな様で実は合っている複雑なアンサンブルなど持てる全ての仕掛けを詰め込んだ大作です。間奏は通底するリズムを各々体内で刻みながら演奏しています。そのリズムは三つの楽器とも奏でてはいない為指針が自らの体内クリックしか無いのです。
くそ難しいです。

「他者他者」
前奏は無機的な音を作れないかと苦心しました。途中からギター、歌、ベースVSドラムという構図でリズムが乖離しています。ドラムが他と明らかに合っていないリズムを叩いています。
シンプルなのに複雑に感じる構成と割と美メロな歌が魅力かと。
歌詞も本人としてはそれなりに青臭さを出せて気に入っています。

「外」
三つの楽器のフレーズがお互い完全に乖離しっぱなしの曲です。全てバラバラにしたいと思って作りました。しかもほぼ展開なしの為、あー退屈に思われるんだろうなーと恐れつつ作りました。歌詞も2行しかない・・・
ただここまでアブストラクトな3ピースバンドサウンドは他にない!はず!と思う事にしています。あと途中でベースのフレーズがエラーを起こします。

「ズレ」
ギターのフレーズと、ベースのフレーズがドラムを中心にしてずれています。ドラムのキックに対してベースが表拍子、ギターが裏拍子をとっています。そしてその上に歌が乗っかるのですが、この歌に対応する伴奏はないどころか、鳴っている音と乖離した感じで歌わなくてはならないボーカル殺しの問題曲。

【歌詞について】
青臭い心情描写をそれなりに音楽の構造と結びつけて書いたつもりです。
野暮になるのであまり語りたくはありません。

1、 他者他者
2、
3、 まだ今日
4、 森
5、 ズレ
6、 少し違う
7、 笑え
All songs written by 空間現代
All lyrics written by Junya Noguchi
Recorded, mixed, and mastered by Taku Unami
空間現代
【メンバー】
野口順哉 / Junya NOGUCHI Guiter, Vocal
古谷野慶輔 / Keisuke KOYANO Bass, Chorus
山田英晶 / Hideaki YAMADA Drums
【プロフィール】
2006年結成、野口順哉(gt.vo)古谷野慶輔(ba)山田英晶(dr)によるオルタナティブロックバンド。異なるリズムのリフをぶつけ合わせる事で生まれる複雑でシュールなアンサンブル、変拍子や変則的展開の多用によりマッシュアップやカットアップ&コラージュを彷彿とさせる特殊な楽曲構成が主な特徴。
2009年12月、UNKNOWNMIX/HEADZより1stフルアルバムを発売。
主な共演者:ドラびでお、メルツバウ、にせんねんもんだい、吉田達也など。

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