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TU M' 『Fragile Touch Of The Coincidence』
発売記念インタヴュー

聞き手:安永哲郎(minamo/cubicmusic)
イタリア在住のエミリアーノ・ロマネッリ(Emiliano Romanelli)とロッサーノ・ポリドーロ(Rossano Polidoro)による、電子音響デュオ、テュ・ム(TU M')が最新アルバム『フラジャイル・タッチ・オブ・ザ・コインシデンス』を先HEADZ傘下のレーベル、ex-poより発表しました。

このアルバムの発売を記念して彼らの最新インタビューをお届けします。
インタビュアーはかねてよりTU M'と交流があり、本作のライナーも担当したminamo/cubic musicの安永哲郎氏。
本邦初公開(?)となる彼らの発言に要注目です!

― まずは、二人がどのようにして知り合い、テュ・ムを始めたのか教えてください。

テュ・ムを始めたのは1998年。僕らは近所に住んでいたからお互いのことをよく知っていたんだ。だから、一緒に音楽を始めたのもごく自然な成り行きだったという訳さ。

― 今は主に楽音をコンピュータで編集する制作スタイルのようですが、もともとはどのようなアプローチから始まり、今のようなスタイルに至ったのでしょう。

 ミュージシャンらしい活動はテュ・ムが初めてだけど、それ以前から単純な遊びの気持ちでいろいろと音楽的な実験を試みてはいたよ。自作楽器を作ってみたり、テープを使った実験をしてみたり。ミュージックコンクレートやノイズのようなこともやってみた。同時に、ギターやサックスをはじめとする楽器にも慣れ親しんでいたんだ。
コンピュータを使いだしたのは、作曲というものに意識を向けることで、音響と構造の二つの面で自分たちの音楽に対する視点をより一層拡げる必要があると感じたからなんだ。僕たちは電子音楽のシーン自体には何も関心はなくて、自分たちが属する環境そのものに大きな関心がある。身の回りのことがうまくいっていれば、それが良い楽曲を作る上での最良のインスピレーションになる。空、風景、空気感、雑多な音…今いるこの場所そのものが、僕たちの音楽に様々な影響をもたらしてくれるよ。

― 音楽や映画、本などでこれまでに影響を受けたものがあれば教えてください。

 フランスの印象派、ポップなフォークミュージック、アンビエント、アメリカのミニマリズム、イタリアのネオリアリズムの映画、宗教、歴史、自然、東洋の 哲学などに影響を受けたよ。

― 楽曲作りは即興と作曲的な要素のどちらが大きいのですか?

 楽器を即興的に演奏することで、自然に音楽が生まれてくる。僕らの制作には即興と編集の要素がどちらも大切だけれど、それ以上に最初のアイデアやある種のイメージ、印象、その時の気分といった感覚的なものが一番重要になっていると思うよ。

― これまで、アルバムごとに音楽的なスタイルを変えてきた印象があります。今回はどういった理由でギターだけに焦点を当てることにしたのでしょうか。それぞれの曲のタイトルも意味深に思えますが…。

 固定化されたスタイルやコンセプトを通したいと思ったことが無いんだ。これまでリリースした作品はどれも、僕らの個人的な生活における音楽についてのリサーチという考えに基づいて作っているから、そういう意味で連続性はあると思うよ。僕たちは日々の暮らしの中で繰り返し起きる喜びや痛み、劇的な感情や体験、そこから得られる教訓を楽曲にして綴っているんだ。
今回のアルバムについていえば、ギターは僕たちが一番身近に感じる楽器なんだよ。僕らはギターと共に育ってきたし、毎日ギターを弾きながら過ごしている。だからこういうアルバムを作ることはとても自然なことだったんだ。

― ビデオ作品も作られているようですが。

 僕たちは映像で音楽を表現している。音楽を聴くとき、目の前に現れてくるようなヴァイブレーションを描こうとしているんだよ。

― 元オヴァルのメンバーでもあるフランク・メッツガーを含むStenoも始められていますね。今後はどういった活動をしていくのでしょうか。

 フランクは素晴らしくクリエイティヴな人だ。Stenoは彼のセンスが加わることで、僕たちの新たな側面が引き出されているよ。
テュ・ムとしては既に、「ジョット(*1)に捧げる」というテーマで新しいアルバムを作り終えていて、あとは引き続き日々の生活の不安定さを音楽で表現することに没頭しているよ。

 (*1) ジョット:Giotto diBondone。13世紀の宗教画家。ビザンティン文化からイタリア絵画を解放してルネサンスへと導いた、西洋近代美術の創始者とされている。

TU M' "Fragile Touch Of The Coincidence"
ex-po 9 / HEADZ 79
2,415円 (tax incl.) 2,300円 (without tax)
2006. 9.20 on sale

TU M' profile

イタリアのアブルッツォ州の第二の都市、ペスカーラ県のチッタ・サンタンジェロに暮らすロッサーノ・ポリドーロ(1970年生まれ、イタリアのオルトーナ出身)とエミリアーノ・ロマネッリ(1979年生まれ、ペスカーラ出身)は、1998年にテュ・ムとしての活動を始めている。
2001年にジェイソン・カーンのレーベル、Cutから初のCD作品『.01』をリリース。
その後、ドイツのDekorder、アメリカのPhthalo、オランダのStaalplaat、北アイルランドのFallt等さまざまなレーベルから作品を発表し、同時にMR.MUTTというCDレーベルや、TU M'P3というMP3レーベルも運営している。
映像作家としても既に10本以上のビデオ作品を制作、イタリア国内を中心に数え切れないほどのグループ展にインスタレーション作品を出品し、最近ではオヴァルの初期メンバーだったフランク・メッツガーを含むトリオ、STENOとしての活動も開始している。
彼らはまたサイモン・フィッシャー・ターナー、スティーヴ・ロデン、ダン・ウォーバートンとのコラボレーションも行ってきている。
2006年はフランスのBip Hopのコンピ『Bip_Hop Generation Vol.8』に参加し、本作にも通ずる3曲の新曲を提供している。


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